漆黒の王者・シンボリクリスエスの9馬身の歴史的ラストラン圧勝からはや1年、今年も熱い戦いを繰り広げた、中央競馬の1年が終わろうとしています。競馬界の頂点がダービーなら、競馬界最大の祭典こそがドリームレース有馬記念、中山の坂が名馬たちが織り成す、かつてないドラマを待っています。

クリスエスの背中を追って、鍛錬し重ねた年月とともに重ねた努力が遂に結実・・・最強という名の勲章を求め続けた旅のクライマックスがやってきました。天皇賞・秋、そしてJCを制覇したゼンノロブロイ、本格化という名の剣と充実という名の鎧をまとった英雄に、もう怖いものはありません。
鞍上のペリエ騎手も、有馬記念3連覇へ相棒を絶大に信頼、クリスエスに伝授されたかのような、キャノン砲を彷彿させる爆発的末脚で一気に前を行く強豪たちを一蹴するシーンが浮かびます。

悲願に懸けた思いは筆舌に尽くしがたいほどです・・・北の怪物コスモバルクに遂に訪れたグランプリの舞台、思えば中央競馬への強烈な宣戦布告となった、あの弥生賞から半年以上の月日が経ち、サラブレッド・コスモバルクは高みへ高みへ常にアドバンスを重ねてきました。
常に付きまとう「折り合い」ですが、すでにアスリートとしての成長を遂げているバルク、もう問題ないと信じています。全身が打ち震えるほどの感動と衝撃を与えられるのは、やはりバルクと五十嵐騎手の黄金コンビしかいません、この一年を瞼の奥で回顧しつつ・・・弾けろ!バルク

引退を撤回したタップダンスシチーにもう迷いはありません、スタートして真ん中から佐藤哲三騎手らしい、確固たる強い意思が溢れるような逃亡を見せ、ラップをガンガンと吊り上げてくるスタイルで、「さあ俺の影が踏めるか!」そんな走りがきっと見られるはずです。

菊花賞馬デルタブルースは積極的な競馬でスタミナを生かすレースをしたいのですが、JCでは控えて爆発力を見せられたのは大きな収穫でした。世界で戦うボニヤ騎手は絶好のパートナーといえそうで、直線でのパフォーマンスが今から楽しみ、一気に世代交代を目論見ます。

ダート界のトップロードを蹂躙してきた日本が誇る首領・アドマイヤドンも純粋な能力は間違いなくトップレベル、少しズブさが出てきたドンですが、鞍上はもちろん最高の相棒・アンカツ騎手、強烈なパワーファイトで、芝でも圧倒的な末脚で弾けるドンを引き出して欲しいです。
JCの勝負所での積極策は全てこの舞台での大復活へプロセスでしかありません・・・全てはこの日のために・・・ヒシミラクルが白い馬体を躍らせて、中山の直線を震撼させる予感がします、3コーナー、激しく角田騎手の手が動けばそれは勝利へのカウントダウンです。
ダイタクバートラムもあまりにも強かったステイヤーズS、この強豪相手でも、中山では大きな自信、ユタカ騎手とともに目覚しい末脚を叩き込んできそうです。

さあグランプリ、ダークホースたちもグランプリホースの座へ、もちろん容赦なく襲い掛かってきます。
ハイアーゲームは能力的にはまったく劣らないはず、右回りの不安も秘めた才能を思えば・・・。
ハーツクライももっと弾けていい爆発的末脚、この秋は封印されたままですが、不気味さを漂わせます。
体調が本当でなかった天皇賞・秋のシルクフェイマス。勢いがついたらノンストップのマーベラスサンデーの血は怖いところ、名馬誕生を思わせた日経新春杯の勝ちっぷりを思い出せば・・・。
ツルマルボーイは今回も現役No1の斬れを持つ末脚に託すだけ、ボーイらしい伸び脚を見たいですね。

ピサノクウカイはこの強豪相手で学んで吸収すれば、ポスト・ロブロイになれる素質を持ちます。
ユキノサンロイヤルは実績は不利ですが、堂々戦って欲しいですね。
グレイトジャーニーもこれからの馬、ここでの糧を大きな実にして欲しいです。
最後に岡部騎手コイントス、スタート決まって流れに乗れば・・・何といっても一昨年の3着馬です。

グランプリ有馬記念・・・年の瀬の忙しない空気も手伝ってか、時間の概念を強烈に意識させる年末の雰囲気がそう駆り立てるのか?不思議な「魔力」のあるドリームレース・・・待っているのは感動か、衝撃か、驚愕か・・・泣いても笑っても2004年最終決戦です!


さあ明日はラストメモリアル!最後を飾るのは「流星の貴公子」テンポイントです。色褪せた昔の写真を見ても、栗色に輝くテンポイントの美しさは際立っています。有馬記念のトウショウボーイとの一騎討ちは、一頭と一頭の馬の存在を遥かに超越した凄まじい戦い、スタートからゴールまでほとんど馬体が合ったまま、これぞ競馬!2頭立てのマッチレースのような最高の衝撃を受けるレースです。
テンポイントはその後、悲しい最期を迎えてしまいました・・・しかしテンポイントの競走生活は競馬の光と闇、栄光と悲劇を同時に教えてくれます・・・競馬という尊くも罪深いスポーツと触れあう上で、勝者への祝福を惜しまないと同時に、その影にある犠牲になり糧になった命のことを忘れないでいたい、そう思います。

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